夏なのに。

3月からの強制ロックダウンでこのマンハッタンに張り付いたまま7月4日を迎えようとしている。体を動かさないでアパートメントで日々を過ごしてきたと思いきや、実際はほぼ毎日外出していた。自転車で買い物に行き、公園に散歩にも行く。しかし大都市でお金を作ることなく生活することは、ホームレスになることと同じ意味を持つ。お金がなくなった時点でアパートメントを追い出される。州知事も市長も富裕層、金融、不動産会社から賄賂を受け取り、強制ロックダウンをさせておきながら普通に住んでいる多くのニューヨーカーの生活を支援する提案さえも出していない。何という皮肉だろう。ニューヨークは世界の資本主義の中心で弱肉強食の街でカネがすべてでもある。コロナ渦はそれを明確に強調してくれた。呼吸して食物を食べ眠るという生きるということが、今は大変なストレスになっている。多くの知人も同じだろう。瞑想がその現実を少し柔らかいものに変えてくれる。このままの心貧しい強欲資本主義を今回も継続するとニューヨークにも間もなく落日が迫ってくると思う。

山に登る。

厳島神社で有名な広島県の宮島を地元に住む女性2人を伴って3人で登山する。思ったより急勾配でトレッキングをしたような気分。途中に神社、寺もあり、景色も楽しめ、頂上に到着したら多くの人々は日本人ではなかった。汗をかいていたので、地元で製造された麓のお店で購入した美味しい寒天を食べた。昨日のことのように思い出すがもう3年以上前に体験したことだった。

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宮島山頂の岩。

 

夜のケルンの墓地にて。

ドイツのカソリックの街ケルンには大きな墓地があります。ケルンに住むローラという若いドイツ人女性と冬の最中、夜遅く入り口が閉まった墓地の塀を昇り侵入しました。暗闇の中でずっと広い墓地を歩いていると墓石のない無縁仏が集まる場所に着きました。そこはどうも水子が埋葬された場所のようでしたが、カソリックなので当然、堕胎は許される行為ではなくちゃんとした墓石もないので当然名前も書かれていませんでした。その場所で若いローラは全裸になり、蝋燭に火を灯し立っているところを長時間露光で写真撮影をしました。その後、撮影は終わり2人で墓地を出て近くの中華料理店で夜食を食べている時、ローラは非常に不機嫌になっていて、話をするのがはばかれるような雰囲気さえありました。寒いということもあり機嫌を損ねているのかと思い、体を温めるために2人でサウナに入りしました。シャワーを浴び、ジャクジーやサウナで体を温めるとローラの機嫌はすぐに元に戻りました。後日談ですが、墓地で撮影した写真のフィルムを現像しコンタクトシートを見てみると、驚いたことに多くの金色の光である水子の霊が彼女の回りを浮遊していたのが写っていたのです。おそらく若い女性だったから母親のように慕って水子の霊が寄ってきたのだと思いました。それを感じたのか憑依してきたのか分かりませんが、ローラの機嫌が悪くなったのだと理解しました。サウナでその憑依していた水子の霊がお湯とともに流れたのだと当時を思い出して感じています。

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ローラ、ケルンの墓地にて。

 

ウィリアム・モリス

ウィリアム・モリスは英国の本の装丁家で日本では知られているけれど、実はビジョナリーだった。装丁はおそらく副職で彼はあるべき世の中の青写真である人間のパラダイスを描いて「どこでもないところからのニュース」という本も執筆・出版してる。オーストラリアの砂漠の真ん中にユートピアという名が付けられた土地がある。世界大恐慌の後、ヨーロッパで多くの人々が職を失い、ウィリアム・モリスに感化されたのか南半球のオーストリアに夢を追いかけて移住し砂漠の水も木もない何もないところに牧場を作り名付けた名前だった。1993年にオーストラリアの砂漠を訪れ星を見て寝袋に身を入れて眠りたき火でお湯を沸かしブッシュティーを飲んだが、何十時間クルマを走らせても誰一人見かけることもなかった。今はユートピアという名前だけが残っているが、夢を見た開拓者も家畜もいない。

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空から見たオーストリアの砂漠。